微積分のイメージ

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計算できない!

前章を読んでくれた読者は様々な関数を知ることが出来たと思う。しかし、例えば三角関数ならばある特定の角度でないとその値を正確に知ることが出来なかった。指数関数ならば、整数ならば頑張ればの求めることができるが、有理数や無理数になるとそう簡単には行かなくなる。平方根ですらその具体的な値は簡単には得られない。物理でも当然これらの関数が出現し、あらゆる数が関数に入れられるのに、正確ではなくてもその近似値としてでも具体的な値がわからなければ全く実用的ではない。コンピュータで計算すればよいと思うかもしれないが、基本的にはコンピュータというのは四則演算しか出来ない。

微分を使えばこの問題を解決することができる。多項式関数の項目で少し触れたが、最も簡単に計算できるのは多項式関数であると書いた。多くの関数は微分によってこの最も質の良い多項式関数で局所的に近似することができるのだ。つまり、よく知った値を元にその周辺の値を求めることが可能というわけだ。まだあまり触れてはいないが、独立変数が2つ以上の多変数関数であっても微分の恩恵は同じなのだ。このことを念頭に微分について学習を進めていく。

無限に細かい和

私達は足し算という演算を知っている。その項が有限ならば計算も簡単だろう。項が無限にある場合でも計算できることがある(詳しくは以降の項目で)。今考えた和というのは項を1つ2つと番号をつけて数えられる場合である。では和を構成している各項に番号を割り振れない場合はどうしようか。そもそもそんなことが可能なのか。

それを可能にするのが積分である。積分は所詮和の拡張である。ただそこに無限小と言う概念が加わっているので、和そのものというのは少し憚られるが、おおよそは同じである。歴史的には四角形や三角形以外の複雑な形の場合の面積を求めるために使われていた。歴史的な流れとしては積分は面積を求める操作であるが、より一般的なことを考えると前述のように考えたほうが良い。