変数
このページから具体的な関数について見ていくことにする。その前に変数についておさえておこう。関数に入れる値のことを独立変数といい、その結果出力される値のことを従属変数と呼ぶ。つまり$y=f(x)$という関係があれば、$x$は独立変数であり、$y$は従属変数である。$x$が変化すれば$y$も同時に変化するということだ。
多項式
では関数を扱っていくのだが、一番始めに考えると良いのが多項式関数である。そもそも多項式とはなにか。例えば$x$や$3x^2$といった幾つかのものの積で表されているものは単項式と呼ばれる。多項式は$x^2+5x$や$x^3-1$といったようにいくつかの単項式が和や差でつないだものである。そして和や差で繋がれた一つ一つを項と呼び、右肩についている添字(指数と呼ぶ)の最も大きい値を多項式の次数と呼ぶ。$x^2+5x$の次数は2である。また各項の指数の値を用いて$n$次の項と呼んだりもする。注意したいのは文字を分母に含む式は単項式や多項式には分類できないことだ。
まあそうはいってもどうやら項が一つだけでも多項式と呼ぶこともあるらしいのでこれからはすべて多項式と呼ぶことにしよう。なぜこの多項式関数を始めに扱った方がいいのか? 私はこれに関してとても単純な答えを持っている。単純に多項式関数は計算しやすい、これが全てだと思う。というのも後々出てくるような関数は特殊な値しか正確に計算できない反面、多項式は(計算の面倒臭さは抜きにして)常に正確な値を算出することが可能だからだ。数学を貶すわけではないが、まあ数学はその値が存在していればある程度の性質がわかっていれば許される。しかし科学の世界では具体的にどれくらいの値なのかをわかっていなければ意味がない。そういった点で物理ではこの多項式関数を原点とすべきであろう。
一次関数
ここからは多項式関数の中でも特に重要なものを2つほど見ていこう。まずはじめに一次関数を見ていく。一般形は$y=ax+b$である。$a$のことを傾きと呼び、$b$を切片と呼ぶ。$b=0$のときは特に$y$は$x$に比例するという。
この一次関数を特別に扱う理由として、傾きという情報を持っているということがある。この傾きの概念は変化率を表していることがわかるだろうか。例えば$x$の増加量が$\varDelta x$のときの$y$の増加量を$\varDelta y$とすると、 \begin{align} y+\varDelta y&=a(x+\varDelta x) \tag{1} \\ y&=ax \tag{2}\\ \end{align} (1)から(2)を引くことで、 $$ \varDelta y=a\varDelta x \tag{3} $$ となる。先程出てきた言葉を使えば$y$の変化量は$x$の変化量に比例するということが言えよう。つまり、 $$ a=\frac{\varDelta y}{\varDelta x} \tag{4} $$ である(暗黙に$\varDelta x\neq 0$としている)。このことから$a$が変化率を表していることがわかるだろう。
一次関数の有用性は後に扱う微分で説明するが、見てもわかるように一次関数は多項式関数の中でも最も計算が容易い。僅かな変化を調べるだけならば都合が良いのだ。
二次関数
次に二次関数を紹介しよう。これは一般形は$y=ax^2+bx+c$であるが、実際は標準形と呼ばれる$y=a(x-p)^2+q$の方が性質がよく分かる。一番単純な形の$y=ax^2$を使って説明しよう。これをグラフに描画した形を放物線と言う。$a$の正負で向きは変わるのだが、形が変わるわけではない。とにかく二次関数で重要なのは、凹凸の情報を持つ最も単純な関数であることであると私は考えている。この性質は先に扱った一次関数にはない。これに関しても後々微分で詳しく説明する。